zames_makiのブログ

はてなダイアリーより移行

原爆を残酷と言える自由

鳩山首相が2009年9月24日国連安保理で演説し、日本が核兵器廃絶、核不拡散の方針を率先して推進することを述べた。その演説の中で、原爆を「残酷 cruel」と表現した。
 それは実は大きな意味があるのかもしれない。田岡俊次氏によればこれは祖父鳩山一郎の仇だという。アメリカの占領中に祖父鳩山一郎は原爆を残酷な兵器と述べ、GHQアメリカ)から睨まれ後に公職追放となっている。又この演説を掲載した朝日新聞は単に掲載しただけで数日発行停止となったという(1945年9月15・17日掲載記事と思われる)。当時GHQアメリカ)は表向きは民主主義と言論の自由を大切にしろと日本人に指示したが、その裏側ではアメリカへの批判は非常に厳しく検閲し抑圧していた。原爆はその検閲対象の一つであり新聞などで悲惨な様子を説明することは不可能だった。アメリカはそれだけにとどまらず映画やその他のソフトパワーを用いて、日本人一般にも又知識人にもアメリカが尊敬すべき国であることを教え込んだ(刷り込んだ)。

 戦後日本人はアメリカから民主主義を学ぶと同時に、アメリカには絶対服従すべきことを教え込まれたと言える。そしてその影は今も続いているように見える。民主党が掲げたインド洋沖での自衛隊の給油活動をやめるという方針は、アメリカに逆らう事であり、もしやめれば大変なことになるという声(自民党政治家や外交評論家と言われる人の声)はけして小さくなかった。しかし「大変な事になる」という予想は当時でもスペインなどの他国の例を見れば間違いだった、それでもそういう事を大きな声で言う人がいた(今もいる)。

 今回の鳩山首相の演説と日米首脳会談は、こうしたアメリカのソフトパワーの結果を見える形ではっきり打ち消すものだったのかもしれない、今や「アメリカの言うことを聞かないと大変な事になる」という声は力を失った。そうした意味でとても重要な演説だったと言えよう。鳩山首相の国連安保理での演説は祖父の仇をうったとも言えるし、やっと日本が戦後を抜け出し本当の意味での自立性へと歩みだした事を言葉で示したとも言えよう。


<参考:鳩山首相安保理演説(該当部分)>
I would like to encourage all leaders of the world to visit Hiroshima and Nagasaki and absorb with their own eyes and ears the cruelty of nuclear weapons.(世界の指導者の皆さんにも、ぜひ広島・長崎を訪れて核兵器の悲惨さを心に刻んでいただければと思います。)
引用元:外務省HP http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/unsokai/64_sokai.html