zames_makiのブログ

はてなダイアリーより移行

真夏のオリオン(2009)東宝

=眼下の敵の日本版を狙う。戦争全体ではなく戦闘員の個人的努力と対決
公開年月 2009/06/13(東宝系)
監督:篠原哲雄 脚本:長谷川康夫飯田健三郎
脚色・監修:福井晴敏 原作:池上司「雷撃深度一九・五」 音楽:岩代太郎
出演:玉木宏堂珍嘉邦(ケミストリー)、北川景子
http://www.manatsu-orion.com/
=イー77潜水艦対駆逐艦パーシバルの戦争アクション大作映画
 戦争アクション小説をベースにしたエンターテインメント大作。第二次世界大戦末期の太平洋を舞台に、海上の米軍駆逐艦と海中の日本海軍の潜水艦で、それぞれ戦い抜こうとする男たちの姿を描く。映画の舞台は太平洋戦争末期。圧倒的な戦力を誇る米駆逐艦と壮絶な攻防戦を繰り広げる旧日本海軍の潜水艦乗員たちの姿をスリリングに描く。
 潜水艦艦長を演じた玉木は、命を懸けた戦いの中でも生きる希望を決して失わなかった主人公について「僕と同じぐらいの年で艦長を務めているけど、どんな状況でもぶれない男」と説明。「現代の僕らと同じ世代よりも優れているなあと思いながら演じていました」と、役柄にすっかりほれ込んだ様子。
 篠原監督は「彼らがどうやって船の中で戦っていたのか、そして残された者はどのような思いを抱いていたのか、そして戦いながらも互いに敬意を払い、生き抜こうとする彼らの高らかな精神を描きたいと思いました」とまだ編集中である作品への思いを熱く語った。

<関連宣伝テレビ番組>

◆6/5(金)27:15〜27:45(30分)日本よ、浮上せよ! 映画「真夏のオリオン」徹底ガイド テレビ朝日
◆6/6(土)深夜1:50〜2:45(実質45分)TV初!?潜水艦独占潜入完全密着!!真夏のオリオンSP吉田栄作驚嘆!玉木宏感動…  テレビ朝日
吉田栄作が潜水艦くろしおに搭乗、潜望鏡、カレー、艦長の重責、聴診棒、漏水訓練など海自と映画>映画と
を重ねる=人の描写に重点。旧海軍潜水艦イー58(インディアナポリスを撃沈)橋本艦長の部下へのインタビュー、橋本艦長を賞賛、部下を大事に、日本に帰還、長男に取材、キャッチフレーズ「日本よ浮上せよ」「生きるために戦う」
◆6/8(月)〜6/12(金)26:34〜26:40 日本よ、浮上せよ!映画「真夏のオリオン」公開直前ガイド テレビ朝日 5分×5
◆6/14(日)14:00〜15:25「今、よみがえる戦争の記憶〜映画「真夏のオリオン」に秘められた真実の物語」 テレビ朝日=6/6とほぼ同じ内容

渡まち子(映画ジャッジ)

潜水艦ものならではの描写は興味深い(45点):
終戦まであと数日というのに、何もかもがこざっぱりしてまったく極限状況に見えない戦争映画だ。悲壮も絶望も、むろん希望も感じられない。亡くなった祖母が持っていた楽譜「真夏のオリオン」の哀しい由来を語る形で、米国海軍駆逐艦と決死の駆け引きを繰り広げたイ-77潜水艦の艦長・倉本をはじめ、親友や恋人、同船した部下たちの思いを描く。そもそもすべてにユルい演出を施す篠原哲雄監督に、ハードな戦争ものを描かせるなど無茶なのだ。だが、海中深く身を潜めチャンスを伺う様子、人間魚雷“回天”を使った酸欠を防ぐ奇策など、潜水艦ものならではの描写は興味深い。お国のための死より生きることを肯定するスタンスは、現代の観客に受け入れられよう。ただし、好敵手同士のスポーツの対戦のような軽い物語として。【45点】(リアリティ度:★★☆☆☆)

読売新聞 2009年6月12日

爆雷、水圧…極限の攻防:
 雨あられ爆雷攻撃する米駆逐艦と、反撃に出る日本の潜水艦の戦いは、次第に緊迫感を増していく。池上司の「雷撃深度一九・五」を原作とし、映画「亡国のイージス」「ローレライ」の原作者・福井晴敏を監修・脚色に迎えた本作は、見応えある戦争アクションとなった。猛攻撃にもひるまず、総力を挙げて攻勢に転じる潜水艦の倉本艦長(玉木宏=写真左)に対し、駆逐艦の艦長(デイビッド・ウィニング)も、同じ軍人として尊敬の念を覚えるようになる。男同士の知略を尽くしたスリリングな攻防は、戦争映画の名作「眼下の敵」を想起させる。

 倉本を信頼する新任軍医(平岡祐太)、職人肌の機関長(吉田栄作)、魚雷専門家の水雷長(益岡徹)らはある時は息を潜め、ある時は全力を振り絞って戦う。潜水艦内という限られた空間が主な舞台だけに、映像化が難しい題材だ。篠原哲雄監督は、開放感ある洋上や回想、現在の場面をテンポよく絡めて緩急をつけ、極限状況下の人間ドラマを濃密に描き出した。1枚の楽譜を巡る謎解きや、終戦の報が届いた後の楽観的展開は、甘いファンタジーに過ぎる感も。だが、激しい戦闘との対比を明確にした、という意味ではバランスがとれている。

 深海の水圧との戦い、残り少ない酸素、音波探知機に悟られないための沈黙といった、潜水艦映画の「お約束」的要素が巧みに盛り込まれ、飽きさせない。悪意ある人物が出てこないのも特徴で、すがすがしい後味を残す。(福永聖二)

毎日新聞 2009年6月12日

 第二次世界大戦末期、日本軍の潜水艦イ−77号は沖縄沖に配備された。倉本艦長(玉木宏)は圧倒的に優勢な米軍の裏をかいて攻撃を仕掛ける。やがて駆逐艦パーシバルと一騎打ちになり……。
 倉本は頭脳明晰(めいせき)。パーシバルの艦長と腹を読み合う攻防戦は、手に汗握るものだ。一方、倉本は人道主義者であり、人間魚雷を出撃させず、生きるために戦えと諭す。婚約者が倉本に託した楽譜が当時と現代をつなぎ、反戦を訴える。戦争や軍隊の全