zames_makiのブログ

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『田母神支持「ヤフー・アンケート」はヤラセだった』(週刊文春)

週刊文春 2008年11月27日号 P166-167 記事
http://www.asyura2.com/08/senkyo56/msg/202.html
「ヤフーの『私を支持するか』『問題があると考えるか』(という意識調査)では、58%がですね、私を支持しております」 政府と異なる歴史認識を論文で発表したとして更迭された田母神俊雄前空幕長は今月11日、参議院外交防衛委員会参考人招致の場で、こう主張して胸を張った―。 今回の懸賞論文を募集した「アパグループ」の元谷外志雄代表も、田母神氏同様、自信たっぷりに次のように話す。 「今度選挙になれば(国民は)目覚めるんだよ。田母神論文は58%(の支持)。では村山談話は何%なのか」


 しかし、この数字に“ヤラセ”があったことが、小誌(『週刊文春』)の取材で明らかになった。ここに一通の“指示メール”がある。田母神氏の親友は、ある人物と、次のようなやり取りをしていたのだ。
《田母神幕僚長は国を思う『平成の西郷隆盛』である。この国を救うため心ある国民は田母神幕僚長を断固支持し、その輪を全国に広げて行かねばならない》 さらにはこんな一文も。
《PS:田母神幕僚長の論文についてのアンケートを下記でやっています。朝日新聞の影響でしょうか「非難派」が若干リードしているようです。どんどん投票しましょう》
そして、文末には投票先のURLを指定。これは幕僚長の論文発表に関する、ヤフーの意識調査のものだった。呼びかけたのは「調布史(ふみ)の会」世話人松木國俊氏である。同氏は、


  「メールで呼びかけたのは、田母神さんの件を知り、いてもたってもいられなくなったからです。田母神さんの参考人招致の場が戦後歴史認識の転換点にできると期待した。なんとかせなあかんなと、20人ぐらい、転送歓迎でメールを送りました。ただ反対勢力も絶対やっているから結果は変わらない」 と譲らない。 松木氏から『投票を』とメールを受けた女性は、あるブログの主宰者にメールを送った。メールを受け取った主宰者はブログに
『田母神幕僚長支持アンケートにご協力を』
『●●さんから転送されてきました。皆様もぜひ、ご協力ください。クリックお願いします♪』
と書き込み、さらに転送している。 「数で負けてます。ご協力をお願いします」 と必死のアピールをしているブログも見つかった。 そしていつしかヤフー・アンケートは田母神支持で逆転したのである。


 これを受け、田母神氏の十年来の友人で、歴史観・国家観を共にする小松基地金沢友の会・諸橋茂一事務局長は、参考人招致当日の朝、田母神氏に「ヤフーアンケートでは、58%が田母神さんを支持している」 と電話で伝えたのだった。 田母神氏は「ありがとうございます」と答えると、その足で国会に出向いた。委員会での自信たっぷりの発言のウラには、こんな“ヤラセ”があったのである。 国会での参考人招致という厳粛な場で、こんなアンフェアなことが許されていいはずがない。


 ITに詳しいジャーナリスト・森健氏も疑問を投げかける。「今回はネット上で広く、田母神氏支持へ協力を要請した痕跡があり、偏った意図が窺えます。そのため、調査結果は明らかにメディアの世論調査と大きな開きが出ている」 12月8日、田母神氏は都内で開かれる論文の授賞式に出席する予定だ。よもや「58%の人が祝福してくれた」とは言わないだろうが・・・。

田母神58%の支持の内実(朝日新聞2009年2月10日)

夕刊連載企画「ネットはいま」第2部「つながる」の7回目:「58%の支持」2009年2月10日

ネット検索大手ヤフーは、その数字が独り歩きし始めたことに、困惑していた。 「ヤフーで58%が私を支持している」 昨年11月11日の参院外交防衛委員会参考人招致。日本の侵略戦争や植民地支配を正当化する論文を公表、更迭された田母神俊雄・前航空幕僚長はそう言い放った。

 「ヤフー・ニュース」には、ニュースの話題に関するネット投票と意見投稿ができる仕組みがある。ネット投票は同月4日から参考人招致当日まで行われ、投票総数約9万7千、「ほとんど問題はない」「まったく問題はない」を合わせると58%だった。 ヤフーはこの仕組みを、あくまで利用者を引きつけるためのコンテンツ機能と位置づける。二重投票の制限などはしているが、そもそも統計学的な精度は担保されていない

 NHKが同月の世論調査で、田母神氏を空幕長にした政府判断の是非を尋ねたところ「大いに問題」が30%、「ある程度問題」が35%にのぼった。日本テレビ世論調査でも、田母神氏の更迭について「適切と思う」が59%。いずれも電話番号を無作為に選んで行う方法だった

 ネット上で「世論」のように見える意見。だが一部の利用者による大量の書き込みや、同じ文言で投稿欄を埋め尽くすことも少なくない。そんな「ネット世論」の違いを、利用者にどう示すか。ヤフーでは、以前からの検討課題だった。 たとえば先月中旬。政権の枠組みについて尋ねた時事通信世論調査のニュースには、約7500件の意見投稿があった。だが、投稿者の1%にあたる上位10人による投稿が全体の20%、投稿者上位20%では投稿の約80%を占めた。

 「ヤフー・ニュース」は今月5日、その仕組みを一新。投稿者がヤフーに登録しているIDの一部とともに、過去にどんな投稿を何件しているのか公開するようにした。 「どんな人が書いているか一目でわかり、意見を判断する基準になるはず」と同社の川邊健太郎・ニュースサービス部長(34)は話す。(後略)