映画「新・あつい壁」(2007)ハンセン病差別
2007年/日本/111分/カラー らい予防法廃止10周年記念・ハンセン病国賠訴訟勝訴5周年記念映画
企画:映画『新・あつい壁』製作上映実行委員会・全国ハンセン病療養所入所者協議 制作:中山映画株式會社
監督:中山節夫 脚本:横田与志 脚本協力:大竹章 詩:谺雄二 音楽:小室等 特別協賛:合志市
出演: 趙萊和(卓也) 安藤一夫、ケーシー高峰、山辺有紀、永野典勝、河原崎健三、伊藤紘、堀内正美、小倉一郎、中村たつ、檜よしえ、常田富士男、左時枝、夏八木勲
… 若きルポライターが追った55年前の事件。駆け出しのルポライター・卓也は、ホームレスの友田から、55年前に熊本で起きた殺人事件の話を聞かされた。「俺は、その犯人のせいにして盗みをはたらいてな。ところが後で、その犯人が死刑になったって聞いた。無実かもしれねぇという話も・・・。」これを取材すればいい記事が書けるかもしれない。軽い気持ちで取材を始める卓也。犯人とされたのはハンセン病患者。卓也は熊本へ向かった。
当時の話を聞けば聞くほど、死刑となった男・勇吉の無実を思わないではいられない。さらには、つい最近起こった宿泊拒否事件やその後ハンセン病療養所の入所者に送られてきた大量の誹謗・中傷の手紙やメールのことを知らされた。55年前の事件の中にあった偏見や差別は、決して過去の話ではなかったのだ。取材を終えて東京に戻った卓也は、原稿を記事にしてもらうために知り合いの編集長のもとを訪れたが、そこでさらに新しい事実を知ることになる・・・。
差別と偏見の向こうに若者がみた真実とは・・・ハンセン病患者を親に持つ子どもたちの小学校入学拒否問題を題材にした「あつい壁」を撮ってから40年近くの時が過ぎました。今日では療養所の入所者と社会との交流も活発になり、ハンセン病やその療養所すら知らなかった若い世代への啓発活動もひろがり、療養所の内と外をめぐる状況はずいぶん様変わりしました。また、らい予防法が廃止され強制隔離政策がまちがいであったことを国が認め謝罪もしました。
しかし、私たち一人ひとりの偏見や差別意識が払拭されることとは簡単にイコールにならない、ということを、温泉拒否事件後の療養所自治会への陰湿な中傷や嫌がらせの事実がものがたっています。劇映画「新・あつい壁」は、ハンセン病患者であることを理由に法の前の平等を踏みにじられた50年以上も前の事件を通して、それを許した当時の社会の意識が今日どのように変わったのか、そして何がかわらないのかを描きました。
http://www5b.biglobe.ne.jp/~hyogocc/hyogocc2/sakuhin2/shin-atuikabe/shin-atuikabe_0.html
埼玉会館小ホール 14:00,18:30