zames_makiのブログ

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現代中国映画上映会

会場:文京シビックホール
サイト:http://www1.parkcity.ne.jp/gentyuei/

雲南物語(1993) 原題:云南故事(Yunnan Story)

 14:00〜 1200円+入会金600円 
1993年北京映画制作所・仲盛電影製作公司共同制作 35mm/カラー/ビスタサイズ/100分/日本語字幕スーパー 言語 ◎ 中国語・日本語
監督:張暖忻(チャン・ヌァンシン) 脚本:田笙(ティェン・シェン)、解婷(ヂエ・ティン) 撮影:王小列(ワン・シァオリエ) 音楽:林韋哲(リン・ウェイジェー)、李欣螭(リー・シンユン) 美術:舒剛(シュー・ガン)
主演:呂秀齢(リュイ・シウリン)、濮存繒(プー・ツンシン) 林建華(リン・ヂェンホァ)
満洲に渡っていた樹子は、逃亡した日本軍に見捨てられ、一人取り残されてしまった。言葉も地理もわからず途方に暮れて自殺を図ったところを雲南省ハニ族の軍人カサが助けてくれた。看護師として中国に残った樹子はある日、病院でカサと劇的な再会をした。身寄りのない中国で生きていくことを決意した樹子はカサと結婚し、一緒に遠く雲南まで帰ることになった。困難を極める大旅行の末、ようやくたどり着いた雲南だったが、長旅の疲れから持病が悪化したカサはあっけなく死んでしまった。しかし、樹子のお腹の中には彼の子供が宿っていた。ハニ族のしきたりに従い、樹子はカサの弟カルオと再婚した。原始的風習が色濃く残る雲南少数民族地区では近代的医療などあるはずもなく、看護師としての経験を生かすことができた樹子は、たくさんの妊婦と子供を救い、現地の人々にとけ込んでいった。そんなある日、日本のテレビディレクターが突然村を訪ねてきた。偶然、日本人によって『発見』された樹子は両親が日本で健在なのを知り、ついに日本へ一時帰国できることになった。日本で父母や友人に出会い懐かしい日々を過ごした樹子は…。
 この映画は、数奇な運命をたどった一人の日本人の真実の物語をもとに描かれた作品である。もちろん登場人物の名前や出身県などは変えられているし、相当な脚色が施されてはいるものの、基本的なストーリーは事実そのものである。日本が起こした無謀な侵略戦争に翻弄された庶民の姿を描いた映画として記録されていいものである。主人公の加藤樹子を演じている呂秀齢は、台湾出身の元アイドル女優。日本映画や香港映画にも多数出演しているほか、琵琶の名手として数枚のアルバムを発表している。また、最初の夫に扮する濮存繒は《乳泉村の子》や《スパイシー・ラブ・スープ》などでもおなじみである。樹子の2番目の夫を演じる林建華は台湾出身の俳優で、陳凱歌監督の《花の影》にも出演している。この映画で描かれる美しくも厳しい雲南の自然と、数十年前まで残されていた奇習は一見に値する。なお、日本での撮影は岐阜県郡上郡で行われた。

延安の娘(2002)池谷薫

16:20〜 1400円
2002年 蓮ユニバース・NHKエンタープライズ21 共同制作 35mm/カラー/ビスタサイズ/120分/日本語字幕スーパー 言語 ◎ 中国語(普通語、陜北方言)
監督:池谷薫 撮影:福居正治 編集:吉岡雅春 録音:鈴木正実 音楽:三宝(サン・パオ)
 文化大革命文革、1966-1976)時期に都市から地方へと大量の青年を送り出した下放陝西省北部にある革命の聖地・延安(イェンアン)にも多数の青年たちが都市から送り込まれた。黄土高原の農民に学ぶためというのがその表向きの理由だった。そこは黄色い大地であり、乾燥した土地だった。延安に住む29歳の貧しい農婦・海霞(ハイシァ)。彼女は文革期に延安に送り込まれた青年男女の間に生まれ、子供のいない農民に預けられて大きくなった。実の父母は文革終了の直前に北京へ帰り、養母も自分の子が生まれると海霞の世話を半ば放棄し、学校は3年しか通わせてもらえなかった。海霞が自分の実の親が北京からの下放青年だったことを知ったのは18歳の時。22歳で結婚し、息子をもうけた彼女は自分の実の親を突き止めたいとの思いを強めていった…。
 すでに文革終了から30年以上が経過した。当時の下放青年は新中国誕生と共に生まれ育った世代だ。文革に翻弄され、時代に取り残されたその世代にも引退という重い事実が迫っている。海霞の親捜しから始まり、文革終了と共に封印されていた時代が今、明らかになる…。

蟻の兵隊(2005)池谷薫

18:50〜
2005年蓮ユニバース制作 35mm/カラー/ビスタサイズ/101分 言語:日本語、中国語
監督:池谷薫 撮影:福井正治、外山泰三 編集:田山晃一 録音:高津祐介 音楽:内池秀和
出演:奥村和一、金子傳、村山隼人、藤田博 百々和、森原一、宮崎舜市、増本敏子 奥村寿、段子清(ドゥァン・ヅーチン) 胡平(フー・ピン)、岳寿椿(ユエ・シューチュン)
 今も体内に残る無数の砲弾の破片。それは『戦後も戦った日本兵』という苦い記憶を奥村和一(おくむらわいち)(80)に突き付ける。かつて奥村が所属した部隊は、第2次世界大戦後も中国に残留し中国内戦を戦った。しかし、長い抑留生活を経て帰国した彼らを待っていたのは逃亡兵という扱いだった。世界の戦争史上類を見ないこの『売軍行為』を日本政府は、兵士たちが志願して勝手に戦い続けたとみなし、黙殺したのだ。「自分たちはなぜ残留させられたのか?」 真実を明らかにするために中国に向かった奥村に、心の中に閉じ込めてきたもう一つの記憶がよみがえる。終戦間近の1945年、奥村は『初年兵教育』の名の下に罪のない中国人を刺殺するよう命じられていた。やがて奥村の執念が戦後60年を過ぎて驚くべき残留の真相と戦争の実態を暴いていく。自身戦争の被害者でもあり加害者でもある奥村が、『日本軍山西省残留問題』の真相を解明しようと孤軍奮闘する姿を追ったドキュメンタリーである。