zames_makiのブログ

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光州5・18(2007)MAY 18 

韓国 配給:角川映画 初公開年月 2008/05/10
新宿ガーデンシネマ・シネカノン有楽町・渋谷アミューズCQN 他全国ロードショー
http://may18.jp/
監督: キム・ジフン 出演: アン・ソンギ キム・サンギョン イ・ヨウォン イ・ジュンギ ソン・ジェホ
…韓国で740万人を動員した衝撃のヒューマン大作「光州5・18」。1980年5月18日、韓国・光州市にて勃発した<光州事件> を、史上初めて商業映画として完全映画化した。

産経新聞歴史修正主義的的見方(2007年11月1日 SAPIO 黒田勝弘

光州事件を描いて大ヒット韓国映画に見る「華麗なる歴史歪曲」
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20071101-01-0401.html

韓国ではよく映画が社会的に話題になる。ある映画が人気を得ると、そのことがネットをはじめいろんなメディアで大きく取り上げられる。するとそれが相乗効果でさらに客が増え、人びとの話題として欠かせなくなる。 その結果、人気映画はしばしば「観客動員1000万人突破!」とニュースになりさらに話題が広がる。赤ちゃんから老人まで総人口5000万足らずの国で、人口の20%以上の人間が直接、映画館に足をはこび、お金を払って同じ映画を見るというのは恐ろしい(?)。 
 テレビならともかく、そんな国は世界中でもあまりないだろう。韓国がいかに集中度が高い社会かを示している。筆者は韓国マスコミから感想を求められると「喜んでばかりでいいの?」とコメントしている。今年の夏も2つの映画が話題を呼んだ。CGをふんだんに使ったハリウッド風の怪獣映画『Dウォー』と、1980年の光州事件を扱った政治色の強い『華麗な休暇』。いずれも客の入りのいい夏休み期間中にすでに「500万突破!」などと人気を呼び、メディアでしきりに取り上げられていた。興行的には前者の方が優勢だったが、後者のような政治的映画がなぜ?
 
 光州事件は1980年5月、朴正煕大統領暗殺事件(1979年10月)後の政治的混乱期に、戒厳令拡大による野党指導者・金大中氏逮捕など軍部の強権措置に反対する光州市での学生や市民による地域ぐるみの反政府闘争だった。なぜ「光州」かというと、金大中氏の政治的地盤だったからだ。警察では手に負えない大規模デモだったため軍が鎮圧に出動した。これに対し市民サイドが軍・警察の武器庫を襲い武装したことから武力衝突に発展、市民側は道庁に立てこもり最後まで抵抗した。結果的に双方に200人以上の犠牲者が出た。
 
 事件はその後、80年代末からのいわゆる民主化の流れと、金泳三政権(1993〜98年)以降の歴代政権により、「民主化運動」だったと評価が逆転し、デモ鎮圧に出動した軍が悪者になった。この歴史的評価の逆転と、当時の民主化運動を担った人びとが政権を握ることで、光州事件は反政府デモ側の見方が“正史”となり、それに対する批判や別の見方はタブーとなった。 映画『華麗な休暇』はそうした公式歴史観に基づき、当時、戒厳軍がいかに乱暴で無辜の市民を痛めつけたか、軍の横暴に対し市民はいかに正当かつ勇敢に抵抗したかが、市民=善、軍=悪の図式で描かれている。ところが、映画はこの図式を印象付けるため、軍部隊による市民に対する一斉射撃という“虐殺シーン”を登場させている。道庁前に集まり、静かに国歌演奏(当時、夕方になると公共施設では国旗降下と共に国歌が流されていた)を聞いていた丸腰の群衆に向かい、部隊が整列して一斉射撃し、逃げまどう市民がばたばた倒れるというのが映画のクライマックスになっている。 


 しかし、歴史的事実としてはこんな場面はなかった。犠牲者が増えたのはデモ側が武装し、軍と武力衝突になったからだ。これは犠牲者の内訳や死因からも分かる。いわゆる「市民軍」は小銃や手榴弾のほか機関銃や装甲車まで手にした。放送局焼き打ちのほか、刑務所まで襲撃し銃撃戦になっている。こんな政治的映画が「観客動員数百万人!」となったのは、テレビをはじめメディアによる賞賛、宣伝のほか、教員労組などによる生徒動員(?)も一役かっているとか。金大中氏や盧武鉉氏など歴代大統領や与野党の次期大統領選候補も競って観覧し、それがまたニュースになっている。 
 これに対し当時の出動部隊員や、光州事件の綿密な調査報道で知られる保守派の論客・趙甲済氏などが「あの映画は“華麗な歪曲”だ」と反論しているが、力不足だ。金大中氏は大統領在任中をふくめ、光州事件については「世界史に冠たる平和的な民主化運動」と繰り返し語っている。後の時代の“時流”に従った一方的な歴史認識である。つい30年前のことでもこの調子だ。まして日本統治時代のことなど……。(産経新聞ソウル支局長)