zames_makiのブログ

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黒木華さんに感動し山田監督の素晴しい言葉に同意する

2/17朝刊を見たら「小さいおうち」に出演した黒木華さんがベルリン映画祭で女優賞(銀熊賞)をもらったという記事を読んで感動した。ここ1年以上安倍首相の暴走や、身の危険を感じる異常な天候など、いやなニュースばかりだったので、嬉しくて涙がでた。
 何より「永遠の0」の大ヒットに対し、一矢を報いる事ができるのではないか?これをきっかけに過去の戦争を題材に、経験者の回想譚という同じ構造をとりながら、まったく対照的な2つの作品という形で議論が起きるのではないか?と期待するからだ。
 戦争を題材にして「永遠の0」は特攻の事実に嘘をついてその嘘を使ってお涙頂戴をしておきながら、肝心の部分は幻(結局不明だ)という、非常にまずい・不出来な映画だ。対して「小さいおうち」は南京陥落時の日本人の熱狂や、皇紀2600年式典の音楽祭など歴史的事実に忠実で、その上で、戦争がおもちゃ会社にどんな影響を与えるかなど、戦争とは何かについて、教科書やドキュメンタリー映画以上により実感的にわからせてくれる素晴しい映画だ。肝心の謎の部分も「永遠の0」が思わせぶりで引っぱておいて結局謎を放り出しているのに対し、「小さいおうち」は観客が自由に想像を膨らませられるようにうまくできている。この2作は本当に対照的な映画だ。

 映画祭のため行ったベルリンで山田洋次監督は右翼の安倍首相に引きずり回されている今の日本に対し厳しい警告を発している。
「現代の日本では、戦争を知っている世代と知らない世代の大きなギャップがあり、総理大臣をはじめ日本の指導者たちは戦後に生まれています。残酷な、ひどい、悲劇的な戦争を2度としてはいけないという教訓をしっかり学んで生きているのだろうか?それが今の世代が抱えている問題ではないかと僕ら旧世代は心配でなりません」全く同感だ。安倍首相が戦争は絶対にしてはいけない物と考えているようにはとても思えない。嫌韓や嫌中を叫ぶ排外主義・民族主義・右翼が戦争がどれだけ悲惨であるかとても理解しているとは思えない。彼らは戦争の悲惨さについてもっと学ぶべきだ。今の若者は「永遠の0」などという表面的なお涙頂戴映画だけを見て、あれが悲惨だなどとうわべだけで理解している。本当の悲惨さを理解していない。

山田洋次監督がベルリンで危機感を表明「総理大臣をはじめ日本の指導者たちは…」

ベルリンで危機感を表明した山田洋次監督【第64回ベルリン国際映画祭】(シネマトゥディ2014年2月15日)
http://www.cinematoday.jp/page/N0060581?

現地時間14日、第64回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品されている映画『小さいおうち』の会見が行われ、山田洋次監督、女優の黒木華、プロデューサーの深澤宏が出席した。

 本作は、大叔母(倍賞千恵子)が大学ノートに書き残した自叙伝を読む青年(妻夫木聡)の現代と、書かれている大叔母の若き日(黒木)を行き来しながら進む人間ドラマ。山田監督は「この本を本屋で読み、すぐに買って、映画にしようと原作者(中島京子)に連絡を取りました。僕の少年時代の東京が描かれています。読んでいて、とても懐かしい。僕自身の物語のような気持ちになりました」と制作の動機を語った。

 加えて「しかもこれは戦争中、1935年くらいから1945年くらいまでの話です。日本の戦争中のことを知っている人は少なくなってきました。僕はその最後の世代です。だから、今の観客に伝えたいと思いました」と世代的な使命感もあったという。「現代の日本では、戦争を知っている世代と知らない世代の大きなギャップがあり、総理大臣をはじめ日本の指導者たちは戦後に生まれています。残酷な、ひどい、悲劇的な戦争を2度としてはいけないという教訓をしっかり学んで生きているのだろうか。それが今の世代が抱えている問題ではないかと僕ら旧世代は心配でなりません」と危機感を表明した。

 ほのぼのとした家族を撮ってきたイメージのある山田監督が、家族の秘密に挑んだ作品でもある。山田監督は「原作が面白かったからで、不倫の映画を作ろうと思ったわけではないです」としながらも、「あの時代に妻が夫以外の男性を好きになるというのは大変なことで、刑法上の罪になる。もちろん女性は投票権もなかった。どんなにつらいことだったか」と当時の女性に思いをはせた。本作では松たか子吉岡秀隆がつらい恋を演じている。

 和服の女中姿で登場する黒木は「昔の女性の方が優雅で、恥ずかしくなるくらいです。昔の映画を観たり、監督にもたくさん教えていただきました」と立ち居振る舞いから勉強したという。昭和モダンの美しい日本、美しいたたずまいの日本人が見られる本作。会見でも、あでやかな和服姿の黒木をはじめ、それぞれが紹介された際に立ち上がって一礼する日本的な礼儀正しさを見せた。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)

映画『小さいおうち』は公開中・第64回ベルリン国際映画祭は16日まで開催