zames_makiのブログ

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荒い海(1969)断片的な戦争の記憶

=登場人物の背景に戦争での行為が大きいが戦争主題ではないのが明確、反戦・平和・命の大切さを訴えるのは明確。ただ映画全体として戦争との関係は詳細は不明

製作=真珠舎 配給=日活 公開:1969.10.15 カラー ワイド
製作:真珠舎 山崎徳次郎 企画:山崎徳次郎 監督:山崎徳次郎 脚本:直居欽哉 服部佳 山崎徳次郎
協賛:財団法人日本船舶振興会 財団法人日本海事広報協会 協力:運輸省 海上保安庁 神戸商船大学 七尾海員学校 財団法人日本海難防止協会 財団法人海上保安協会 石川島播磨重工業株式会社 特別協力:日本水産株式会社(鯨漁船団の主)

出演:
渡哲也(北見洋二)主人公、鯨キャッチャーボート乗り組む、漁師の息子で大学生だが学生運動をきっかけに退学、漁師の兄と対立し、鯨船団へ
伊藤初男(北見太一郎)その兄、沿海のマグロ漁師、粗野で弟叱る、シンガポールで父の戦死場所(自決)である塹壕を見学
荒木道子(北見きよ)その母
行友勝江(北見静子)その妹
和泉雅子(美津子)主人公の女友、浜で漁師の手伝いして待つだけ

高橋英樹(篠田克之)主人公の友人、鯨船団で甲板作業員で働く、漁師の息子
本間文子(篠田とめ)その育ての母、産みの母を紹介する、夫は戦死
左幸子(滝村節子)その産みの母、突如現れる、大阪城で面会、夫は戦死
田村正和(島村健)鯨船団の新米乗組員、軟弱な若者、主人公と対比

永井智雄(大垣指導砲手)鯨船団キャッチャーボートの主、主人公を指導、戦争中は弟が宗方船団長の部下(魚雷艇)でその判断により死ぬ、船団長と対立
西村晃(宗方船団長)鯨船団の指揮官、新任、戦争中は海軍指揮官で海戦中負傷兵の救助より攻撃を優先し、部下を殺す、大垣指導砲手と対立

感想

短縮版の表示あるのでそのためかもしれないが全体に演出が非常にまずく見るに堪えない。捕鯨船団の様子を描くもので、登場人物の背景に戦争が色濃く設定されているのは恣意的で必然性がなく「黒部の太陽」の影響か?しかし非常に反戦的であり、主人公の大学生はベトナム戦争に反対するデモを口にするし、父親を戦争で失い、母親は「あなたが何事もなく暮らし成長できるという平和が戦争で死んだへの私たちの最大の贈り物、最も大事な事」と書く。また遭難した他国の船員を救助し、「命の大切さを知った、戦争でこの平和がある」という。船団指揮官同士の対立も遭難船救援の決断で収まるように描かれる。
 登場人物の背景に戦争での行為が大きいと設定され、主人公の2人の父親はどちらも戦死、その死に場所であるインドネシアシンガポール近郊の塹壕「暁四二六部隊管理」と書かれている、を映像が写し、長々とナレーションが語る、また鯨漁船団の指導者は戦争中の判断で対立し、当時戦闘優先で戦友救助をしなかった指揮官は、鯨漁場の判断で部下から厳しく反対されるが、ついに鯨を発見、同時に他国船員を救助命令をだし、戦争をひきずる指揮官と部下が融和するように描かれる。ただし全体は鯨船団での漁の模様を企業サイドの視点で見せるもの。出演者は豪華だが、演出非常に下手で見るに堪えない。


あらすじ(キネ旬)=正確でない

その日、小樽の北見家は二重の喜びにわいた。北洋で遭難した長男太一郎が救助されて戻ったのと、東京から大学生の次男洋二がひょっこり帰って来たからだ。だが洋二の心は、度重なるストや学校閉鎖で暗かった。太一郎に叱咤され、学問や人生に疑問を抱く洋二は、ますます悩んだ。そんな時に会ったのが、幼な友だちの克之だった。捕鯨船で鍛えあげた克之の肌には、人生に対する自信が満ちあふれていた。洋二は早速同じ村に住む捕鯨砲手大垣に南氷洋行きを頼んだ。日本水産第二図南丸船団が神戸港を出航しためは、十一月上旬だった。出航を前に、克之は生みの母節子に会った。節子は、生活苦のため捨てたわが子の成長に感激、克之もまた「誕生したことが、僕にとっては意義がある」と働くことのよろこびを洋二に語った。洋二にとって、整備作業は厳しいものだった。船では一人の過失が、全員のそして、家族にまで災難を及ぼす。洋二は、克之の忠告をバックに、同僚や仕事に同化していった。乗組員には、さまざまな人生を送った男たちが乗り組んでいた。洋二は彼らと接し、いろいろな人生を知って新年を迎えた。鯨漁解禁日が来た。洋二は大垣砲手が乗る第27興南丸に移り、新ルートによる探鯨を始めた。だが数日を経ても鯨は見つからず、キャッチャーの船長らは動揺、針路変更について話しあった。皆を制して黙々と鯨を追う大垣。ワッチから洋上を見張る洋二。「鯨発見!」の声と同時に、船が全速力で追跡をはじめた。大垣が確実に鯨を射とめていく。鯨と人間の死闘、そして、射止めた鯨を大庖丁一つで手早く切りきざむ母船甲板員の血みどろの活躍。洋二の顔には男の自信と喜びが満ち溢れていた。

参考視聴者の反応(2014年1月)=
http://ameblo.jp/dp-ck-tsk/entry-11749433648.html#cbox