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絵描きと戦争(1981)戦争画

制作:RKB毎日放送(九州) プロデューサー:木村栄文 初回放送1981年11月12日。企画・シナリオ・構成・出演:菊畑茂久馬(現代美術作家) 司会:山本学
参照=http://www.rkb.ne.jp/kimurahidefumi/
【番組概要】戦争と芸術。この巨大な主題のもとで、有史以来世界中で、たくさんの殺戮の絵や戦争の絵が描かれてきた。こんにち、私たちがいうところの古典的名画のほとんどは、宗教画か殺戮画か、権力者のために描かれた絵である。かつて、太平洋戦争のときも、日本の有名な画家たちは、こぞって国のために、たくさんの戦争画を描いた。中でも、画家・藤田嗣治は、玉砕相次ぐ敗色濃厚なときにあっても、「戦争に芸術」というテーマと立ち向かい、そのために、藤田は異国の地に去り、生涯日本に帰ることなく死んでいった。いまひとり、九州の片田舎に、坂本繁二郎という画家が住んでいて、戦争をはねつけながら必死に生きていた。坂本繁二郎はもっぱら、馬の絵で知られる画家である。その微妙な色調に心酔者も多く、東洋的哲学画家などと呼ばれている。この番組は二人の画家の生涯を通して戦争と芸術について視聴者に対して問いかけようというドキュメンタリードラマである。
文化庁芸術祭テレビ部門(ドキュメンタリーの部)優秀賞

阿部一直(山口情報芸術センターYCAM])2011年05月01日

「震災後の「絵描きと戦争」/「polar m」/平川典俊展」より
http://artscape.jp/report/curator/10000585_1634.html

 (略)このドキュメンタリーの主題は戦争画であり、その伏線として、菊畑の著名な論文「フジタよ眠れ」(1972)の主題となる藤田嗣治と、北九州をベースにして寡黙に戦後まで活動した坂本繁二郎を対比し、ポリフォニックに描き出す2時間を超える大作である。藤田、坂本のほかにも、第二次大戦中多くの戦争画を描いた作家や、やはり震災後3月30日に亡くなった、宮城県出身でシベリア抑留を経験した彫刻家・佐藤忠良、昨年亡くなった針生一郎、また岡本太郎らの生々しい肉声を、独自に取材し記録収録している。菊畑の戦争画論、藤田論としては、2006年に生誕120年時の藤田嗣治展をすでに経ているし(東京国立近代美術館京都国立近代美術館広島県立美術館で開催)、今年7月から福岡市美術館長崎県美術館で同時期に開催予定の23年振りとなるレトロスペクティブ「菊畑茂久馬回顧展『戦後/絵画』」に再論を譲りたいが、ここでは、このテレビ作品がどのように絵画作品を撮影しているのかが、非常に気になったのである。(略)