zames_makiのブログ

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黒い河(1956)基地問題

製作=松竹(大船撮影所) 公開:1956.10.23 114分 白黒
企画:にんじんくらぶ 監督:小林正樹 脚本:松山善三 原作:富島健夫 出演:有馬稲子 渡辺文雄 仲代達矢 宮口精二 山田五十鈴
基地問題を背景に壊れかかったアパートに越してきた大学生と、アパート住人に立ち退きを迫る愚連隊リーダー、大学生を慕う女学生との関係を中心に辛らつな人間関係を描く。

アパートとは名ばかりの朽ちはてた長屋「月光荘」−−内妻をパーマネント屋に勤めさせているグウタラ者の岡田、愚連隊の親分・人斬りジョーの手下の坂崎と山口、朝鮮人共産党員の金、ポン引の栗原など余り柄がよくない連中が住んでいる。ある日、ここへ大学生の西田が引越してきた。彼は引越すときに道を訊ねた静子というレストランのウェイトレスと親しくなった。その頃、月光荘の家主幹子は、人斬りジョーを通じて二百四十万円でアパートを買取りたいとの相談をうけていた。買手は黒木という男で、近くの米軍基地を目当てにキャバレーを開くらしい。ジョーは坂崎らを使って三千円を餌に住人たちに立退きを迫った。西田や金は頑としてはねつけた。坂崎らは住人の個個に買収を始めたが、その手始めに一夜アパートで酒盛りをした。その翌朝、、西田は静子がジョーと一緒に泊っていたのを知ってギクリとした。翌日、彼は静子に会い、その告白を聞いた。あの夜、静子は西田のもとへ行く筈だったが途中でジョーの奸計にあって体を自由にされたというのだ。語り終えた静子は西田への愛情に、ジョーを殺して自分を取戻すのだと誓った。翌日、新川組という土建屋の若い衆が突然アパートを取壊しにきた。西田が村役場へ訴えに行くと意外にも自分の印鑑が立退同意書に押されてあった。ジョーのインチキと知って戻るがアパートは半分近く壊されていた。しかもジョーは、あくまで立退きに応ぜぬ西田に、今日は自分の誕生日だから祝いに来てくれと呼出しをかけた。その使いに来た坂崎を締上げて西田は、アパート跡に温泉マークが建つことを白状させた後、ジョーのいる新川組の一家を訪れた。酒盛りの最中、果して立退きのことで不穏な空気が流れたが、同席した静子の取りなしで収まった。その後、ジョーと彼の情婦幸子、それに静子と四人連立って西田は表へ出た。折からの雨。そのとき静子は、ジョーに接吻すると見せかけ、彼を走ってきたトラックめがけて突きとばした。ジョーは轢かれて死んだ。西田の胸に静子は涙の顔を埋めた。

キネ旬掲載誌

1957年12月下旬号 日本映画批評 黒い河・報論壇 「黒い河」と現代芸術
1957年10月下旬号 特別口絵 「黒い河」の小林組・新作グラビア 黒い河
1957年10月上旬号 日本映画紹介 黒い河

上映 銀座シネパトス

10:30/14:40/18:50
併映:日本の青春