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シベリヤ物語(1947)復員軍人の話

原題:SKAZANIE O ZEMLE SIBIRSKOI(A TALE OF SIBERIA) 別題:シベリア物語
100分(完全版は116分) ソ連 配給:日ソ映画=東宝 初公開:1948/11/(リバイバル1977/11)
監督:イワン・プイリエフ 脚本:エウゲニ・ポメスチフ、イワン・プイリエフ、ニコライ・ロシコフ 音楽:ウラディミール・クリュコフ、ニコライ・クリューコフ

=復員軍人が主人公の音楽映画、カラー。占領下の日本でも公開され好評。対独戦で負傷し本来の望みを失った主人公の復活の物語、と同時にカラーの音楽・娯楽映画、と同時に恋争いの喜劇、と同時に開発と建設による明るい未来を祝福する映画、の多面性あり。主人公、その恋人、恋敵、あるいは同行の若者など皆復員軍人であり、冒頭はベルリンの戦闘場面で始まる。1948年の日本人観客は歓迎したようだが、反応したのはその国家宣伝的な面ではなく、カラーの娯楽映画として楽しんだのではないか?また対独戦でなく対日戦だったらどうかとも思われるがその描写は短く、印象は同じだったように思われる。レストランで全員で歌を合唱するシーン多く、歌声喫茶への影響ある? ラストのシベリア賛歌のシーンでは現実のシベリア開発の正の面=ロシア人によるシベリア原住民の征服(戦闘シーンを伴う)、帝政期の囚人所の不幸とレーニンによる再処遇、力強い製鉄所の様子、広い穀物畑、開発された町などが映し出され、主人公の述べる詩はそれを賞賛するという、国家方針に従ったものである。これらのシーンの意味が当時の国家ないし国民にとってどういう意味があったかは確認する必要がある。

出演:ウラジミール・ドルージニコフ(アンドレイ、復員軍人の音楽家)主人公、音楽大で将来を嘱望されたクラシック音楽家(ピアニスト)だが、対独戦で精鋭部隊の中尉として、負傷しピアノひけない。失意で故郷のシベリアに技師として帰るが、余興でアコーディオンや歌で喝采うける。音楽大の同僚が飛行機の故障で立ち寄り音楽大会を繰り広げる。その後シベリア賛歌を作曲モスクワで大評判となり、ナターシャと結婚しシベリアへ赴任する。

ヴェラ・ワシーリエワ(ナステニカ、美人女給)主人公の部隊にいた女軍曹、今はシベリアのレストランの丸顔の人気女給。ロシア民謡を楽しく歌う。主人公が音楽大の女に惚れてると知り落胆、バス運転手を見直す。1年後結婚。
マリア・ラドイーニナ(ナターシャ、歌手)クラシックのスター歌手金髪美人。主人公と音楽大の同僚、惹かれている。主人公に引かれシベリアに残ろうとするがバス運転手の説得で去る。1年後再訪するが主人公は不在、モスクワで再会し結婚する。
ボリス・アンドレーエフ(ボリス・ブルマク、バス運転手)シベリアの女給に恋する恋仇。元戦車隊長。最後の列車に乗り合わせ2人を祝福する。
ウラディミール・ゼルディン(ヤコブYakov)音楽大の人気ピアニスト。主人公の恋仇。ナターシャに求婚するが拒否される。
ソ連2本目のカラー長編映画で、ロシア民謡など随所に歌曲を取り入れ、雄大な自然を舞台にしたメロドラマとなっている。第二次大戦ベルリン攻撃の際、手を負傷してピアニスト生命を断たれた青年は、かつての恋人でソプラノ歌手のいるモスクワを去る。失意のうちに戻った故郷シベリヤの大地で彼は、ナチスドイツに打ち勝ち、さらなる社会主義建設の気運に燃え労働に励む人々の素朴な歌声にふれ、やがて作曲家としてオラトリオ『シベリヤ大地の物語』(映画の原題)を発表、見事に恋人と結ばれる。