zames_makiのブログ

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2011年大地震で未見のNFC上映映画

島の娘 (62分・35mm・白黒・サウンド版)

野村芳亭によるサウンド版小唄映画。「島の娘」は当時の大ヒット曲で、他にも数社が映画化している。芳亭は、前作『涙の渡り鳥』(1933年)に続き、新人・坪内美子を再びヒロインに起用。伊豆大島を舞台に、若者たちのすれ違いと悲恋を抒情豊かに描いた。ロケーション撮影も美しく、残存する芳亭作品の中でも貴重な1本。
'33(松竹蒲田)(監)野村芳亭(原)長田幹彦(脚)柳井隆雄(撮)長井信一(美)脇田世根一(出)坪内美子、竹内良一、江川宇礼雄若水絹子、鈴木歌子、河村黎吉、岩田祐吉

少年航空兵 (100分・35mm・白黒)

海軍の少年航空兵を目指す少年たちの物語。伏見晃(晁)の原作・脚本を佐々木康が監督。当時の年少観客に向けて製作された。海軍航空隊予科練習生の訓練の内容や日常の暮らしぶりが、セミ・ドキュメンタリーのタッチで描かれる。
'36(松竹大船)(監)佐々木康(原)(脚)伏見晃(撮)野村昊(美)江坂實(音)萬城目正(出)本郷秀雄、水島光代、日下部章、飯田蝶子、武田秀郎、三宅邦子笠智衆、花村千惠松

故郷 (84分・35mm・白黒)

伊丹万作のJ.O.スタジオ(のちの東宝)移籍後第1作。時代劇でその名を馳せた伊丹が、初のJ.O.作品となった前作『新しき土』(共同監督A・ファンク、1937年)に続き取り組んだ現代劇で、原作は金子洋文の戯曲「ふるさと」。東京の女子大を卒業し実家に戻ったヒロイン(夏川)が、久々の故郷での生活に馴染めず、家族から孤立していくさまを描く。
'37(J.O.)(監)(脚)伊丹万作(原)金子洋文(撮)三木茂(美)郄橋庚子(出)坂東簑助、夏川靜江、藤間房子、舟越復二、丸山定夫

なつかしの顔 (34分・35mm・白黒)

成瀬巳喜男のオリジナル短篇。弘二(小高たかし)の家は、兄が戦争に行き、母(馬野)、兄嫁(花井)と赤ん坊の4人暮らし。ある日、近くの町の映画館でかかっているニュース映画に出征中の兄が映っていると教えられる。怪我をした弘二の代わりに見て来ようと、母、続いて兄嫁が映画館に出掛けるが・・・。優れた話運び、巧みな編集、人物・風景の美しいショット。今こそ見直したい作品。
'41(東宝京都)(監)(原)(脚)成瀬巳喜男(撮)木塚誠一(美)北村郄敏(音)太田忠(出)花井蘭子、小郄たかし、馬野都留子、藤輪欣司、深見泰三、小郄まさる、原純彦、澤井一郎、大倉文雄、渡草二

母を讃へる歌 (53分・35mm・白黒)

朝日新聞社がかつて主催した「健康優良児表彰制度」の10周年を記念したタイアップ映画。建築現場の事故で夫(斎藤)を失った母(吉川)が、女手ひとつで子供たちを育てると決意。それから10年が経ち、彼女の仕事は順調、最も心配された病気がちの息子(三井)もすっかり丈夫になり高等学校の寮で暮らしている。だが彼女は同僚の男性とトラブルになり・・・。
39(松竹大船)(監)原研吉(脚)野田郄梧、森山季子(撮)厚田雄治(美)植田種康(音)篠田謹治(出)吉川満子、三宅邦子、三浦光子、三井秀男、齋藤達雄、水島亮太郎、岡村文子、奈良眞養、小林十九二、西村青兒

空想部落 (79分・35mm・白黒)

南旺映画は1939年映画国策を提唱した代議士・岩瀬亮により設立され、その後の企業統制により2年足らずで東宝に吸収された映画会社。本作はその創立第1回作品。尾崎士郎の同名原作を八田尚之が脚色、千葉泰樹が監督。新築地劇団、新協劇団のメンバーが主に出演し、さらに東宝からも沢村貞子らが出演。空想や夢を糧に生きる人々の現実を描いた異色作。
'39(南旺映画)(監)千葉泰樹(原)尾崎士郎(脚)八田尚之(撮)中井朝一(美)中川一政(音)深井史郎(出)千田是也、赤木蘭子、三島雅夫原泉子、永井百合子、志賀暁子、信欣三、松本克平、殿山泰二、澤村貞子

幸福の限界 (89分・35mm・白黒)

石川達三の同名原作を新藤兼人が脚色。監督は「狸御殿」シリーズの木村惠吾。女性の解放を主張し旧来の結婚を頑なに否定する次女(原)。戦争未亡人となり娘と共に婚家を追われながらも再婚すれば安定した生活がもたらされると信じる長女(市川)。娘たちの対照的な生き方に触れ、夫(小杉)との関係を見つめ直す母(田村)。女性にとって結婚、そして幸福とは何かを問う。
'48(大映京都)(監)木村惠吾(原)石川達三(脚)新藤兼人(撮)竹村康和(美)中村能久(音)大沢壽人(出)原節子、藤田進、小杉勇、田村秋子、市川春代沢村貞子、斉藤達雄、南部章三近衛敏明

麗春花 (80分・35mm・白黒)

八田尚之による原作・脚本を、島耕二が監督。また、戦後しばらく俳優業から遠ざかっていた島が、ヒロインの父役で久々に主演も果たした。ヒロインには同じく原作・脚本を八田が務めた『夜の緋牡丹』(1950年)で主演した島崎雪子。遺書により娘と父に血のつながりがないことを告げるヒロインの亡母に花井蘭子、父の恋人に三宅邦子
'51(新東宝=銀座ぷろだくしょん)(監)(出)島耕二(原)(脚)八田尚之(撮)小原讓治(美)下河原友雄(音)服部正(出)島崎雪子、伊豆肇、花井蘭子、三宅邦子、久保春二、築地博、鮎川浩、伊東健、汐見洋、志摩春子、小柳久子

慟哭 (114分・35mm・白黒)

俳優・佐分利信の監督第5作。脚本は彼がしばしばコンビを組んだ猪俣勝人のオリジナル。妻を喪った劇作家(佐分利)が、劇団の若き研究生(阿部)に強く惹かれ、新作も彼女をイメージしたものに変わっていく。かつて妻との三角関係で紛糾した過去のある劇団の看板女優(木暮)に彼女の教育を託すが・・・。「日本版『イヴの総て』」(「キネマ旬報」)。'52(新東宝=東京プロ)(監)(出)佐分利信(脚)猪俣勝人(撮)藤井靜(美)松山崇(音)早坂文雄(出)木暮実千代、阿部壽美子、南壽美子、丹阿彌谷津子三橋達也千田是也笠智衆三宅邦子徳大寺伸

南十字星は僞らず (92分・35mm・白黒)

終戦後の1946年、不在の夫の地盤を継ぎ妻が代議士に立候補したが、選挙日の直前に、夫が南方から現地妻のアインと子供を連れて帰国。「二人妻」事件として当時のジャーナリズムが大きく取り上げた。その後アインによる51年発表の同名手記に、大幅な脚色を加えて映画化したのが本作。戦時下の南方を舞台とした情熱的な恋の物語となった。
'53(新東宝)(監)田中重雄(原)山崎アイン(脚)成澤昌茂(撮)三村明(美)進藤誠吾(音)齋藤一郎(出)高峰三枝子、若原雅夫、千田是也殿山泰司、小堀誠、荒川さつき、千石規子、ジプシー・ローズ

沙羅の花の峠 (112分・35mm・白黒)

俳優・山村聰の監督第3作。劇作家・三好十郎の原案を自ら脚色し、主演も兼ねた。『蟹工船』(1953年)、『黒い潮』(1954年)の前2作に続く社会派作品だが、無医村の問題を、巧みな集団演出とユーモアで堅苦しくなく見せているのが本作の大きな魅力。南田洋子が女医の卵を好演。
'55(日活)(監)(脚)(出)山村聰(原)三好十郎(撮)中尾駿一郎(美)郄田一郎(音)土肥泰(出)南田洋子宍戸錠、牧眞介、河上敬子芦川いづみ、利根はる惠、清水將夫、東山千榮子

大地の侍 (106分・35mm・白黒)

明治初年、朝敵として自藩での帰農を許されなかった岩出山藩士らが、主席家老・阿賀妻を中心に遠路石狩の原野へと、茨の道を歩む姿を描いた北海道開拓秘話。小説「石狩川」を原作に、チャンバラやお家騒動とは無縁の題材に挑んだ異色時代劇だが、満洲帰りのスタッフを多く抱えた東映にとって、自らの存在証明とも言える物語かもしれない。
'56(東映東京)(監)佐伯清(原)本庄陸男(脚)郄岩肇(撮)藤井靜(美)北川弘(音)小杉太一郎(出)大友柳太朗、郄千穂ひづる、伊藤久哉、三條美紀杉村春子、郄木二朗、加東大介、日野明子、千田是也

純情部隊 (84分・35mm・白黒)

マキノ雅弘の職人技が光る兵隊もの。力道山東千代之介が共演。力士上がりで除隊後に仲間の勧めでプロレスラーに転向する力道山の役どころは、現実の彼の経歴をまさしく反映したもの。当時の力道山は、『力道山物語 怒濤の男』(1955年)、『怒れ!力道山』(1956年)などに立て続けに主演した映画スターでもあった。
'57(東映東京)(監)マキノ雅弘(原)玉川一郎(脚)中田竜雄(撮)藤井靜(美)北川弘(音)大久保徳二郎(出)力道山東千代之介、星美智子、藤里まゆみ、月丘千秋、進藤英太郎、ディック ミネ、杉狂児、廣沢虎造、堺駿二


東北関東大震災