zames_makiのブログ

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久米宏のテレビってヤツは 第13回 竹中平蔵

(テレヤツ)MBS毎日放送(TBS系列で可) 毎週水曜10時放送 60分枠 2008/10/22開始
司会:久米宏八木亜希子 コメンテーター(おしゃべり仲間):多数
13回 2009年2月4日  竹中平蔵荻原博子室井佑月、ビビる大木
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13回(291、2/7現在)

番組感想

竹中平蔵氏の独演会になりつまらなかった。構成上は竹中平蔵氏と荻原博子氏の2人対等のゲストだが、内容的には竹中氏1人をスタジオ全員でやっつけよういうものだった。そしてそれが「できなかった」という内容になってしまったからだ。番組中で唯一面白かったのは室井氏が竹中氏の言っていることは間違いだと確信しながらも、実際には何も言えず、このため感極まって「誰か何とか言ってよ」と言った場面。この番組の実態を表していた。


 更に実は今回最も面白かったのは番組本体ではなく、本HP上にある「久米宏のつぶやき」だと思う。そこで久米氏が小泉はテレビをうまく使ったが実は竹中氏はもっとうまいと指摘したのは鋭い貴重な発言だと思う。テレビでいかに自分の言いたいことを示すかという点で、竹中氏は小泉氏以上に自覚的でありそれを実行している」というのは、早口で質問全てに答えまくる本番組の竹中氏を見たかぎり同感だ。


 本番組をここまで毎回見た経験から言ってこの番組は討論番組ではなく、正面からの論争で竹中氏をやっつける必要は番組構成上はないのに、今回はそうなってしまったのが不思議だ。おそらくそれは久米氏他の製作者の力量不足(ないしは間違い)のためだろう。

番組分析

というのは既に2009年1月18日のサンデープロジェクトでは竹中平蔵氏と金子勝氏の40分にわたるガチンコ討論が行われており、そこでも結局竹中氏独演会に近かったからだ。サンデープロジェクトでは知識豊富な大物経済学者の金子氏でさえ、小泉構造改革での竹中氏の行動や発言の過ちをはっきりと示せず、時間が経てば経つほど竹中氏の優勢になっていた。竹中氏は小泉政権で新資本主義・市場原理主義的政策を推し進めたが、竹中氏の主な施策は不良債権処理であり、はっきりした発言や行動・施策の形では自らの市場原理主義的方針を残さなかったためだと思われる。


 本番組でも制作スタッフは竹中氏批判のビデオは製作したが、討論の中であるいは久米氏の得意な何気ないお話の形で、竹中氏の間違いを明確にできるだけのネタ・言い方・論点を久米氏他は把握できていなかったのだろう。それが結局竹名氏の過ちや悪どさ・卑怯さを抉り出せず番組を詰まらなくさせたのではないだろうか。


 竹中氏は番組内で自分に投げかけられた問いに、即座に全て答えており、かつ豊富な知識で切り返す。これでは番組を見た限り竹中氏の言っている事のほうが正しい、と受け取らざるを得ない。そこで更に興味深いのは、本番組感想ページで示されているように視聴者のかなり多くは竹中氏がこてんぱんに批判される事を期待して番組を見ており、番組では実際には竹中氏の過ちを示されなかったのにもかかわらず、竹中氏が正しいと感じた人は少ないと思われることだ。
 小泉構造改革で行き過ぎた新資本主義的施策を行い、今多くの失業者を出してその施策の過ちがはっきり示されてしまった現在では、小泉改革での竹中氏の行動の是非には既に過ちだったという結論が出ており、視聴者の多くは、討論よりいかに竹中がへこまされるかを見たかっただけなのだろう。そしてその欲望が満たされなかったため番組に多くの(批判的な)感想投稿がきたように見える。これは最近この番組では田母神論文を扱った回に対して、田母神支持者から番組に批判的な多くの投稿がきたのと同じ構造だ。

 視聴者は番組の内容に素直に納得せず、自らの視聴目的・思想傾向に沿って応答するという良い例だと思われる。