zames_makiのブログ

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ヒットラーの狂人(1943)

原題:Hitler's Madmen アメリカ公開:1943.6 日本未公開
監督:ダグラス・サークDouglas Sirk
脚本:ベレーツ・ヒルシュバインPeretz Hirschbein、メルヴィン・レヴィMelvin Levy、ドリス・マロイDoris Malloy
Release Date:10 June 1943 (USA)
出演: John Carradine(Reinhardt Heydrich:ハイドリッヒSS将校)
Alan Curtis(Karel Vavra レジスタンスをそそのかす若者)
Patricia Morison(Jarmilla Hanka若者の恋人)
Ralph Morgan(Jan Hanka レジスタンス指導者)

ラングFritz Langの「死刑執行人もまた死す Hangmen Also Die!」と同じ題材、B級、サークの渡米第1作。ラングの作が1943年春公開予定のため題名を「ヒトラーの死刑執行人」から変更。
物語はチェコの小村リダで起きた史実に基づく、レジスタンスによるSS将校ハイドリッヒ(キャラダイン)暗殺事件とその後の村民へのナチスの報復を描く。イギリスに亡命していた青年(カーティス)が落下傘で村に帰り、村民をレジスタンスに立ち上がるよう誘う、だが彼の恋人の父親(モーガン)が反対する。しかし着実にナチスの犠牲者は増えていく。2人の子持ちの主婦は夫が連行され死体となって帰って来るのを見る、プラハの大学生なのにハイドリッヒによって軍性奴隷に送られようとして逃げて投身自殺した娘、教会の儀式の途中ナチスに聖衣を汚されて抵抗して射殺された神父など。
 父親(モーガン)はついにナチスへの抵抗を決意、ナチス将校ハイドリッヒを暗殺する、ハイドリッヒは冷笑的だが死は怖い醜い人間として描かれる。また、愚かで小心なドイツ人村長や、2人の息子を戦争で失いレジスタンスに好意的なその妻、などのドイツ側描写ありナチス兵士は村民全員虐殺を通告、村民はその前にチェコ国家を歌う、歌は遂にマシンガンで消されるという感動的なエンド。
 未ソフト化(B級ノワール論:ハリウッド転換期の巨匠たち 吉田広明 作品社 2008)