zames_makiのブログ

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<オバマ政権のパレスチナ問題への方針は不公正だ>

 パレスチナ問題でイスラエルなどへ派遣された米国特使が帰国し、オバマ政権のパレスチナ問題への姿勢が明確になってきた。
 オバマの大統領就任にあわせてイスラエルのガザ攻撃はイスラエルの一方的な停戦宣言で毎日死者が出る悲惨な状況は収まりニュースは少なくなった。しかしイスラエルは以前と変わらず占領と封鎖を続けており、パレスチナ特にガザが酷い人道的危機状況にあり、いつでも紛争が再開される状況にある事に変わりはない。
 その中でオバマ政権はミッチェル特使がアメリカに帰国し、オバマ政権の基本的な方向が見えてきている。それはイスラエルの認めていないパレスチナ国家を建設し、そこにパレスチナ人を収容することで平和を実現しようとするものらしい。しかしその大前提としてはイスラエルからの攻撃(虐殺)はいつでも許容する、という今の状況にパレスチナ側が文句を言わないことだ。また選挙で選ばれた、すなわちパレスチナ人の民意であるハマスオバマは認めない


 パレスチナ国家を認めることはいい事だ。しかしその前提としてイスラエルの占領と封鎖を問題視せず、逆にパレスチナ人の民意であるハマスを認めない。これではパレスチナ人の支持を得るのは無理だろう。簡単に言えばこれは不公正にパレスチナを侵略してきたイスラエルの「穏健な代行」でしかない。


 この不公正さはすぐに露呈した、2月3日のイスラエルの攻撃再開に対してオバマ政権が最初に言ったことは「ハマスは攻撃を止めろ」であり「イスラエルは攻撃を止めろ」ではない。オバマ政権の特使ミッチェル氏は従来よりは中立に近い、しかしミッチェル特使は、ガザを訪問していないし、ハマスとも話していない、これではアメリカの「ハマスは攻撃を止めろ」は重みがないし、その言葉にパレスチナ人が従う訳がない。

 オバマ政権はミッチェル特使をガザに派遣し、ハマスと対話すべきだ。ハマスファタハという両方の存在を認め、素直に話しあうべきだ。



−−−(以下はこれを示す新聞記事)−−−−−

イスラエル空爆再開でオバマがしたのはハマスに攻撃停止を求める事(AFP通信 2009年2月4日)

 イスラエルは3日、南部アシュケロン(Ashkelon)に同日、パレスチナ武装勢力がロケット弾を撃ち込んだことへの報復として、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)南部の密輸用トンネルを空爆した。(中略)

 こうした事態を受け、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官は、パレスチナ側に対しガザからのロケット弾発射の即時停止を求め、ジョージ・ミッチェル(George Mitchell)中東特使を再度、ガザ地区に派遣すると発表した。ミッチェル特使は、前月末に同地区を訪問したばかり。

イスラエルの攻撃にオバマハマスへ攻撃停止を求める(なぜ?)(日本テレビ2009年2月4日 9:19)

 ハマスの攻撃停止が不可欠〜米国務長官アメリカ・クリントン国務長官は3日、中東訪問を終えたミッチェル特使と協議し、イスラム原理主義組織ハマス」によるイスラエルへの攻撃停止が和平推進には不可欠との立場をあらためて鮮明にした。
 「ハマスイスラエルへのロケット攻撃をやめるべきだとわかっている。昨日もけさもロケットが発射されている。こうして攻撃されたら(イスラエルに)自国の防衛以外のことを頼むのは難しい」−クリントン国務長官はこのように述べ、和平プロセスを軌道に乗せるには、ハマスによるイスラエルへの攻撃停止がまず必要との認識をあらためて明確にした。
 また、アメリカが中東和平推進に積極的に関与していく方針を強調し、ミッチェル特使を数週間以内に再び現地に派遣する方針も明らかにした。

オバマパレスチナ国家設立を目指す(共同通信2009/02/04)

 ミッチェル特使再び中東へ 米、パレスチナ国家目指す
【ワシントン3日共同】クリントン国務長官は3日、イスラエルパレスチナの和平交渉を通じたパレスチナ国家樹立を目指す意向を表明、中東・欧州歴訪から戻ったミッチェル中東和平担当特使を月内に再び、中東に派遣すると述べた。(中略)

 クリントン長官は「西岸とガザの両方で自立可能な独立国家建設を目指す」と述べ、ハマス武装闘争路線の放棄を求めた。ミッチェル特使は「中東情勢は複雑かつ困難で、リスクを伴わない外交などあり得ない」と認めながらも、「忍耐と決意を持って仲介活動に当たれば、現状を変えるお手伝いができる」と和平推進に意欲を示した。

オバマはアラブに耳を傾けると言いつつハマスを除外した(しんぶん赤旗2009年2月4日)

 ハマス除外に「不公正」の声
 (前略)今回のパレスチナ訪問でも、ミッチェル氏の日程には、焦点となっているガザ地区訪問は含まれず、同地区を実効支配しているハマスとの接触もありませんでした。エジプト紙ミドル・イースト・タイムズ(二十九日付)は「オバマ政権は『アラブとイスラエルの言い分を聞く』といってミッチェル氏の報告を待っているが、ここではイスラエルパレスチナ紛争の重要な当事者であるハマスがテロ組織として退けられている」と指摘し、ミッチェル特使の対応は公正さを欠いていると主張しました。

占領と封鎖を解除しろと駐日パレスチナ代表がイスラエル非難(時事通信 2009/02/04)

「ガザはゲットー」とイスラエル非難=境界解放を要求−駐日パレスチナ代表
 駐日パレスチナ常駐総代表部のワリード・シアム代表が4日、都内で記者会見し、イスラエルパレスチナ自治区ガザの住民の出入りを制限し、「パレスチナ人150万人のゲットーを作りだした」と非難、境界の解放と通行の自由をイスラエル側に求めた
 同代表は、イスラエルによるガザ侵攻に関し、「民間人の犠牲は受け入れ難い」と批判。軍事的選択はイスラエルパレスチナ間の対立の解決策にはならないとして、交渉による現状打開を訴えた。また、自治政府にとっては、ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスを一政党としてパレスチナ解放機構(PLO)の傘下に組み込むことが重要になるとの見方を示した。

ファタハ、「ハマスの指導地位に反対しない」(中国国際通信2009-02-04)

 パレスチナのエレカト交渉首席代表は3日、ヨルダン川西岸の都市ラマラで、「もし、イスラム原理組織のハマスが今後の選挙で勝利した場合、アッバス議長が指導するPLOパレスチナ解放機構ファタハハマスが指導する自治政府に反対しない」との考えを示しました。
 さらにエレカト代表は「ハマスパレスチナで無視できない政治流派である。我々は依然として、ハマスパレスチナ内部の和解に向けた対話に参与し、パレスチナ評議会の選挙に参加するよう呼びかける」と強調しました。
 先週、ハマスの指導者メシャール氏はカタールで談話を発表し、すべてのパレスチナ人を代表できる新しい機構を設立してPLOに代えるよう呼びかけました。

日本のガザ救援物資はイスラエルの封鎖でガザに届かない(読売新聞 2009年2月4日)

日本のガザ救援物資、エジプトに10日間留め置き【エルサレム=三井美奈】
 パレスチナ自治区ガザ紛争で被害を受けた住民のため、日本政府が送った毛布などの救援物資が10日間、ガザに搬入されずにエジプトで留め置かれていることが2日、わかった。
 救援物資は、毛布2万9000枚やブルーシート8000枚など9000万円相当で、1月24日に、ガザ境界に近いエジプトのエルアリシュ空港で、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)に引き渡された。

 救援物資は通常、イスラエル経由でガザに送られるが、在エジプト日本大使館によると、イスラエル政府がガザのイスラム原理主義組織ハマス再武装を警戒し、厳しい物流規制を続ける中で、UNRWAは食糧を優先しているため、日本や外国からの援助物資搬入が大幅に遅れている。

 ガザでは停戦入りした1月18日時点で国連学校などに4万人以上が避難しており、学校開校後、行き場を失って、テント生活を強いられている人が多い。

ディアスポラのパレスチナ難民 ─新しい世代

東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所/国際連続ワークショップ「映像で見る紛争犠牲者たち─1990年代以降のパレスチナユダヤの語りから」その4
2009年2月4日(水)
時間:午後1:10-2:40
会場:東京外国語大学 講義室115
上映作品:『無期難民』
講師:ハーディー・ザッカーク氏(レバノン在住パレスチナ人、映画監督、セント・ジョセフ大学講師)
使用言語:英語
主催:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所


『無期難民』(2006年/03Productions/48分):レバノン南部のパレスチナ難民が置かれた現状と、彼らが抱くアイデンティティについて、ドイツへの移民などの事例をもとに描く。